赤と白
一回り古き地球の話
神話で語られることのない古代の記憶
一人の巫女、王に仕えていた
その巫女が従えるは白き龍だった
王は中央を治めていた
ある日彗星が降り国が荒れた
その地を捨て新たな地を求める者と
その地に残り再興を成そうとする者とで
分離した
王は後者の者を引き連れた
巫女も王に付き従った
巫女は王を心から尊敬していた
その身を、人生を捧げていた
争いは続き、王側は山河に籠城した
しかし、荒ぶる士達の襲撃を受けたため
巫女は首を切り離されて殺された
王は既に命を落としていた
その時の巫女の恨みが呪いとなり、天に黒雲をもたらした
黒い雲から降り注ぐ雨は、血のような真紅
巫女の汚れの血とも、襲った士達の血とも言い伝えられた
さて、巫女の従えし白龍は
3日間血の雨の中に唸り大地を泳ぎ
とうとう赤龍となる
そして、巫女の魂の弔いを行った